紙切れが挟まれている。※かなり病んでいます。閲覧の際はご注意ください。
そもそも、生まれてきてはいけないと言われていた。
なぜ生まれてきたのかとさえ言われた。
それは俺に起因することでなく、ただ望まれた子でなかっただけ。
そして俺は望まれた子ではなかった。
いきる理由なんて知らないし、いきる目的も分からなかった。
ただ、死ぬ理由もなかったからいきてきた。
死んだところでどうなるわけじゃない。どうあっても厄介者扱いをされるならと、せめて従順な犬を演じた。
心を殺して、ただひたすら言われるままに従った。
己自身に価値を与えず、他者からの評価も鑑みず、ただひたすら己を貶めた。
そうしてできあがったのが俺。
何よりも存在価値がなく、何よりも必要とされない。
いつからか、俺は自分をそう信じていた。
俺が俺である意味などどこにもなく、ただ何かの代替品でしかない。
今この瞬間に俺が死んだとして、世界には何の影響もない。
俺は、何の意味もない存在だ。
そう信じていた。
笑うことは苦手だ。感情を晒すことにはいつも抵抗がある。
俺の笑みは所詮上辺だけで、心のどこにもない。
笑って、と言われても笑えない。
笑う理由も見つからない。
俺はいらない子だから。
どんな表情も醜くて、唾棄すべきものだから。
なのにあの手が、俺を包んだ。
優しくて暖かいその手がとても嬉しくて。
あの頃に比べて、少しは笑えるようになっただろうか。
それでも俺は、いまだに自分に価値を見出せない。
存在する価値もないのだと、ただひたすらに己自身を責め続けている。
俺は俺自身を貶め、俺自身に価値を与えない。
生まれてきてはいけない子だから。
望まれてはいなかったから。
本当に守るべきは自分自身だと言われた。
あなたは自分自身を傷付け、それでもなお自分を殺そうとしていると。
いっそ死ねばいい。この身が何の意味を持つのか。
俺の言葉に彼は激怒し、それからひどく泣いた。
そんな相手は初めてだった。
俺自身がその価値もないと知り、他の誰もが俺を見放して、なのに彼は俺のために泣いた。
泣きたいのはあなたでしょう?
言われても分からなかった。
何故泣くのか。その理由が分からない。
彼は俺を抱き締め、子供をあやすように言った。
その傷だらけの心でどうするのかと。傷付いたまま放っておくのかと。
俺には分からなかった。
俺にとって、心は傷付けるものだったから。
傷は少しずつ癒えている。
それでも俺には価値がない。